住幸房

貫構法

「貫」 「貫」

貫とは、柱を貫通して通す水平方向の部材のことです。
この貫の役目は、家が倒れるのを防ぐと同時に、土壁の下地の役割も担っています。貫が入った軸組は、変形性能が高いので、傾きは大きくなっても、完全に倒れることを防ぎ、逃げ道を作ってくれます。現代の木造住宅で多く見られる筋違いと合板は、想定内の外力には強く抵抗し、傾きも小さく、強さを発揮しますが、能力を超えた想定外の力がかかると、一気に壊れます。壊れると抵抗しなくなってしまいますので、倒壊します。貫構造にすることで、完全倒壊を防ぎ、いざというときに避難の時間をかせぎ、住む人の命を守ります。
また、傾いた家でも重機などで引っ張って傾きをなくすことができます。

土壁

竹小舞 土壁 泥付け作業 泥付け作業

土壁は優れた調湿性能と蓄熱性能を持っています。吸放湿性能が高いので、室内の湿度が高いときは湿気を吸い、乾燥しているときは湿気を放出します。だいたい、相対湿度で50%~70%程度で室内湿度を保ってくれます。
また、蓄熱性能が高く、熱をため込むことができます。蓄冷もします。室内温度が外気の影響を受けにくく、室内温度の急激な変化を押さえてくれます。それから、地震への抵抗要素としても土壁は非常に優秀です。
地震時には、まず土壁で抵抗します。土壁はもろいので壊れますが、大きなエネルギーを消費し、高い減衰効果があります。次に、貫と仕口(柱と梁桁の接点)が抵抗します。

大工の手刻み

墨付け 手刻み チョウナ 継手 仕口

木の癖を見て、適材適所で組み合わせて作ります。プレカットではできない加工もできます。(丸太の架構、複雑な継手・仕口など)木材同士の接点を多く作り、摩擦抵抗と木材同士のめり込みが、地震への抵抗要素です。粘り強い構造です。接点が多いことで、地震時の減衰効果もあります。
構造材である木材を、長さ方向につなげるのが継手(つぎて)直交方向につなげるのが仕口(しぐち)です。
どちらも木材を加工して金物を使わずにつなげます。このとき、金物を使わずに、というのが重要です。金属は湿気を呼び寄せ、次第に錆びていきます。すると、錆と水分に接している木材は腐ってしまいます。いざ地震が来たときに継手・仕口が腐っていたら、地震に耐えられるはずがありません。金物を使わなくても、地震に耐えられる継手・仕口の選択が重要です。

再生可能

資材の再利用

伝統構法の建物は、建てるときと反対の順序をたどることで解体が可能なので、移築や転用などの再利用ができます。木や紙は燃料にもなります。
また、使われる素材は木、土、石、紙と全て土に還るものばかりです。とても環境にやさしい構法だとも言えます。

長寿命

根継ぎ

建物の寿命に大きな影響を与えるのは湿気です。伝統構法で使われる素材は、湿気を吸ったり吐いたりして、自分で調湿することができるものばかりです。湿気に対応できない金属は錆びてしまいますが、木は腐らないように工夫してあげることで長持ちします。腐ってしまった部分の補修も比較的簡単にできます。
また、地震などで被害を受けても部分的な補修をすることで、再利用することができます。そのためには、柱や梁の構造材が見える「真壁(しんかべ)造り」であることが重要です。
これに反して、柱などの構造材を見えなくしてしまう工法の「大壁(おおかべ)造り」では、構造材が被害を受けていても目視では判断ができないため、被害を確認するだけでも建物全体の工事が必要となります。
構造材が見えていることの利点は、地震被害の修理のときだけではなく、リフォームなどで間取りの変更を行う際にも、構造体を痛めなければ簡単にリフォームができるという利点もあります。

省エネルギー

最近何かにつけて話題に上がる省エネですが、建築物は①建てるとき②使用しているとき③壊すとき④再利用するときにエネルギーを使います。
木造住宅を建てるときに必要なエネルギーは、鉄筋コンクリート造の3分の1、鉄骨造の2分の1程度です。
また、木造住宅を解体するときは、燃やしてしまえば土以外何も残りません。解体した廃材を燃料として使うことは、そう珍しいことではありません。丁寧に解体すれば再利用も可能なので、必要なエネルギーはほんのわずかです。一方、鉄をリサイクルするには膨大な電気と水を消費します。コンクリートは粉々に砕いて再生コンクリートの原料にするか、埋め立てです。粉砕する施設も埋め立て場も必要です。

その他s

梁組み 書院 水屋

この他にも、風の通り道を作りやすいこと、見た目の美しさ、触ったときのやわらかさ、など挙げていくとキリがありません。