住幸房の家造り

House Making by Sumaikoubou

私たちは、伝統的工法を基本とし、様々な要素にこだわりを持って家造りをしています。

構造

Structure
  • 01.適材適所の木組み

    家の骨組みとなる構造は、天然乾燥の木材を使用し、大工職人が木の癖を見て、適材適所で組み合わせて作っています。木材にも個性があり、材料としての向き不向きがあります。まっすぐな木材はまっすぐなりに、曲がりの強い木材はその曲がりが活かされるように、また木の癖を見て経年の変形を予測して使うことで、長期間の使用にも耐えることが可能です。

  • 02.金物に頼らない

    構造は、木組みだけで成立させます。金物に頼らず、木材同士の接点を多く作ることで、粘り強い構造となり地震時の減衰効果も期待されます。金物は、湿気を呼び、金物が錆びてしまい、周辺の木材を腐食させます。金物に頼ってしまうと、いざ地震が来た時に、抵抗要素を失ってしまっている可能性があります。あくまでも金物は補助的な使用とし、「構造の基本は木組み」を旨としています。

  • 03.貫構法+土壁

    貫構法+土壁は、地震などの外力に対して、2段構えで備えています。貫構法は柔らかい構造です。そこに土壁を組み合わせることで、一定の固さを確保しています。地震時には、まず土壁で抵抗します。土壁はもろいので壊れますが、大きなエネルギーを消費し、高い減衰効果があります。次に、貫と仕口(柱と梁桁の接点)が抵抗します。貫が入った軸組は、変形性能が高いので、傾きは大きくなっても、完全に倒れることはありません。貫構法は、建物本体の完全倒壊を防ぎ、いざというときに避難の時間をかせぎ、住む人の命を守ります。

室内環境

Indoor Environment
  • 01.室内の快適さ

    室内の快適さは、室温だけで判断できるものではありません。温度、湿度、気流、放射などの要素を組み合わせて考え、エアコンによる空調に頼らない室内環境作りに務めています。暑い季節の長いこの地域では、やはり夏をどう過ごすかを重点的に考えます。

    住幸房では、屋根や外壁の断熱だけではなく、遮熱に力を入れています。夏は直射日光による熱を家に溜め込まないようにすることが、室内の快適さに大きな影響を与えます。庇を深くし、屋根・外壁に遮熱層を作り、室内に風の通り道を作ることで、真夏の暑さもどうにかやり過ごせないかなと考えています。もちろん、暑さが厳しい時期にはエアコンに頼らざるを得ないこともありますが、そのエアコンの負荷を考えても、まずは熱を家に溜め込まないことが重要です。

    冬は、日中の日差しをなるべく多く取り入れるために、南側には大きな窓を配置します。夜には、窓の内側の障子を閉めることで、たった紙一枚ですが、窓ガラスから入ってくる寒さを軽減することができます。また、土間や土壁は蓄熱性能が高く、熱をため込むことができるので、薪ストーブとの相性が非常に良く、一度暖かかくなると穏やかな暖かさが持続します。

  • 02.湿気との共生

    日本の湿潤な環境と共生するために、内装に使用する素材は、木・土・紙などの吸放湿性能の高いものがほとんどです。また、内部結露やカビの発生を防ぐために、湿気の移動を止めるような素材(合板やビニールクロス類)はなるべく使用しないように心掛けています。主に、杉・桧などの無垢材と、しっくいや土塗り仕上げなどで、室内環境を構成しています。

    吸放湿性能が高い素材は、ジメジメしているときは湿気を吸い、乾燥しているときは湿気を放出し、相対湿度で50%~70%程度に室内の湿度変化を抑えてくれます。特に、住幸房で頻繁に使用する杉板は、梅雨時期でもサラッとした肌触りで、湿度の高い日本の住まいに欠かせない要素の一つです。  また、室内の通風を確保し、透湿抵抗の低い素材を使うことは、使用した木材の乾燥状態を保つためにとても重要です。

メンテナンス

Maintenance

住幸房が施工する住宅のほとんどは瓦屋根です。瓦屋根のメリットは、瓦自体の寿命が長いことと、部分補修のしやすさです。板金や薄型スレート瓦(コロニアル)の寿命が30年程度なのに比べ、瓦は50年~100年程度の耐久性を持っています。また、割れた瓦を部分的に差し替えることも可能で、維持しやすい屋根材だと言えます。現在行われている瓦工事では、台風や地震などで瓦が落ちないように全ての瓦を釘止めしていますので、災害時にも比較的安全です。

また、外壁の雨がかりの多い部分には、交換のしやすい杉板を張ることで、外壁のメンテナンスを容易にしています。瓦と同様に傷んだところだけの部分補修が可能です。外壁の耐久性には軒の深さが大きく影響しており、軒を深くすることで、雨から外壁を守る効果があります。軒の浅い家は、外壁の痛みが早くなります。

自然素材

Natural Materials

木・土・石・紙を基本とした家造りをしています。特に内装には、極力、自然素材を使います。自然素材は心地良い空間を作るために大切な、住む人に優しい素材ですが、最後は土に還るという意味で、環境にも優しい素材です。解体した時に環境に負荷を与えることのないように心掛け、子孫にゴミの問題を押し付けることはしたくないと考えています。