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自宅新築工事日誌16 「大工が作る大工の家」

自宅新築工事日誌16 「大工が作る大工の家」

松の古材の梁を刻んでいます。

棟上げ前に投稿ができなかった分にさかのぼります。

この材料は、昭和20年代後半に建てられた家が解体される時に引き取ってきた梁です。
多少の虫食いはありますが、構造的には全く問題ありません。
むしろ、これからドンドン味が出てくると思います。
強度的にも、これからが一番強くなる時期です。
解体されて、捨てられるにはもったいなさすぎます。

さて、「刻み」というのは、建物に使うために加工することです。
「墨付け」というのは、刻むための線を材料に書き込んでいく作業です。
曲がった材料でも、墨を付けることができれば、刻むことができます。
曲がった材料にどうやって水平と垂直を出すのか、これが大工の技術の見せ所といってもいいかもしれません。

写真のように、梁の切り口に水平と垂直を出して、それを基準にしていきます。
この梁に屋根の荷重が全てかかるわけですから、上からの力を受けるために、一番効率の良い形になるように、材料を転がしながら検討します。

ほぞ穴を掘るときも、この水平と垂直が基準です。ドリルの錐(きり)が、両端の基準の板と平行になるように確認しながら、穴を掘ります。
この穴が狙った通りに掘れるかどうかは、大工のセンスです(^^;・

3Dに曲がった材料でも、大がかりな機械など使わずに、大工の技術があれば、墨付け刻みができて、建物に使えます。

現在の家づくりは、生産ラインに乗らないので、曲がった材料は使いませんが、それが結果として同じような家の大量生産に繋がっているのかもしれません。
曲がった材料には価値が認められていないんですね。

よく考えると、曲がった材料を使うことは、最近よく聞く「ダイバーシティ(多様性)共生社会の実現」そのものかもしれませんね。
個性の尊重です。

適材適所とは、昔の人は、本当に良いことを言ったものです。

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