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雨の日に思うこと

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梅雨かと思うような、降ったりやんだりの天気が続いています。

雨が続くと、外の工事が思うようにできずに、

私たちにとっては、ちょっと困ったものなのですが、

今日は、この湿気について、書いてみたいと思います。

~~~予備知識~~~

日本では、当たり前のようにあるこの湿気は、日本の木造建築にとって常につきまとう、重要な問題です。

木は、湿気を吸ったり濡れたりしても、乾けば何も問題ありません。

逆に、濡れっぱなし(完全に水に浸かった状態など)でも、問題はありません。

半乾きの状態(湿っていて酸素がある状態)のときは、腐朽菌が付きやすく、腐れやすくなります。

また、木材と木材を組み合わせるときに、釘や金物が使ってあると、この金属部分が湿気を呼び、金属が錆びるとともに、木材も腐食していきます。

~~~壁の中の湿気はどこへ?~~~

さて、今朝、自宅から会社に向かう途中に、まさに今日棟上げするであろう建築現場がありました。

パッと見た感じの工法から、高気密高断熱などを謳っているハウスメーカーの仕様のようです。

棟上げが終わると、屋根工事、サッシ工事などの後に外壁工事が始まるはずです。

外部側は、構造用合板や、断熱材が一体になった外壁下地などが張られ、

室内側は、気密のためのフィルム(分厚いラップのようなビニル製品)が張られるはずです。

そうなると、柱の両面は、湿気を通さない(通しにくい)材料でサンドイッチされてしまいます。

当然、湿気の逃げ場はなく、サンドイッチの中(壁の中)は、湿気がこもった状態となります。

木材は、腐れやすく、金属は錆びやすい状態になっているわけです。

雨が降ると、材料が濡れたり、湿気を含んでしまうのは避けられないことです。

現に、今日見た現場は、もう材料は濡れているわけで。

加えて、今日見た柱は、集成材でした。

集成材を濡らして良いことは一つもありません。

集成材というのは、木材の割れや節などを除いて、小さな断面の木材を接着剤で寄せ集めた木材です。

バラつきの大きい無垢材に比べて、強度のバラつきが小さく、強度計算がしやすい工業製品です。

この集成材は、人工的に機械乾燥された材料が使われています。

かなり乾燥された状態で出荷されていますので、濡れると一気に膨らみます。

私の経験では、105幅の集成材が濡れて、110幅ぐらいになっていたこともあります。4~5%変化するわけです。

不勉強のため、集成材に使われている接着剤がどのようなものか知りませんが、この木材の伸び縮みに追従していけるのでしょうか?

追従できなければ、接着材は剥がれ、断面の小さな木材に逆戻りです。

さらに悪いことに、集成材に使われている木材は、外材であることも多く、湿気に強いとは言えないような木材も多く見られます。

私たちにとっては、木材の寸法が5㎜も変わってしまったら、壁がまっすぐ作れません・・・

~~~湿気と付き合っていくには~~~

壁の中に湿気を閉じ込めてしまうのは、家のためには避けたいことです。

湿気の出入りが可能な方法で壁を作るべきです。

壁を土壁にして、室内仕上げをしっくいや、板壁などの湿気が抜けるような作りにするのが良いです。

厳密に言うと、しっくいや板などの材料自体が湿気を通すというよりも、板と板の隙間から抜けたり、土壁が水分を吸収できる容量が大きいので、湿気がこもらなかったりしているだけなのかもしれませんが。

また、柱を隠してしまわず、室内側に見せてしまうのが良いです。(柱が見える作り方を、真壁と言います)

真壁にすると、仮に、柱が濡れても乾いていくので、柱が腐るのを防ぐことができます。

今日見た現場も、なにもわざわざ壁の中に湿気を閉じ込めようとしているのではなく、完成後に室内側の湿気(生活していると、外より室内の湿度が高くなることが多々あります)が壁内に入り込んで、壁内で結露するのを防ぐ目的でやっています。

ただ、建築中に雨に濡れることなんかは想定していないと思われます。

工場から出荷された状態を維持できれば、それは理想的な工法なのかもしれません。

でも、日本では、それは不可能です。1週間、雨が降らない季節なんてそうそうありません。

現場で働いている人たちも、「晴れが1週間続いてから気密フィルムを張ろう」なんて考えていないわけで。

100%を求めても、現場では実現できないし、想定していない事態が起きた場合は、対処ができないと思います。

(例えば、2階で大量に水をこぼして、1階の壁の中に水が浸み込んでしまうと、壁を切り開けないと壁の中は乾かない、とか)

何事にも「逃げ」が必要だと思います。

というわけで、長くなりましたが、雨の日に思う「木造住宅と湿気について」でした。

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