
8月22日~9月7日の約半月の間、7月に発生した西日本豪雨災害の被災地である岡山県総社市に、木造板倉の仮設住宅建設に行ってきました。
この板倉の仮設住宅は、7年前の東日本大震災のあと、福島県いわき市に建設され、仮設住宅の法律の縛りもあって、今年中に解体されることが決まっていたものを、市町村間の無償譲渡制度を活用して移設するというプロジェクトです。
板倉の仮設住宅の特徴は、
①建築のスピードが速い
この落とし込み板倉は、柱と柱の間に壁のパネルを落とし込んでいくので、建前(棟上げ)の時に室内の壁と天井工事がほとんど終わってしまいます。建てた後は、窓と床と外壁の工事をすれば、だいたいの木工事は終わりです。
②室内環境が快適
杉の構造体と、杉の内装材に囲まれている、杉のかたまりのような建物です。室内の湿度の調整も完璧だし、木の香りもします。杉の板は柔らかいので、手触りも非常に良く、快適な住環境です。
③解体時にゴミにならない(ゼロではありませんが少ない)
いわき市に建っていたものを一度解体して、総社市まで運んできたわけですが、リサイクルできなかったものは電気配線と給排水の配管だけだったそうです。屋根断熱材に使われていた茅は、おそらく他の用途に転用されたと思います。また床断熱材に使われていたもみ殻は、ネズミに食われてしまっていたそうで、その残骸はおそらく処分されています。
その建設は、
まず、杭を打ち込み
その上に、土台を敷きます。
柱を立てながら、同時に壁のパネルを落とし込んで行きます。
だいたい早ければ1日で、化粧野地板(天井を兼ねる)まで張ってしまいます。
屋根工事は、垂木を載せ、野地板、ルーフィングまでで大工の作業は終了です。
その後、外壁工事を進め、
室内工事に入っていきます。ロフトに寝転がると、本当に目の前は、杉、杉、杉です。
仮設足場が取れると、外観はこんな感じです。
途中で、雨に降られたりもしましたが、仮設住宅を待っている人がいるという思いから、職人のみなさんの仕事の手は泊まりませんでした。
そして、次の棟の建前です。
この時は、20人以上の大工で、3棟同時棟上げしました。
今回建設していた土地は、避難所になっている公民館の目の前ということもあって、近隣の方の注目も熱かったようで、
見学に来られる方も多くいました。
途中でテレビの取材が入りました。
そして、ローカルテレビのニュースで取り上げられました。
残念ながら、そのニュース動画は、削除されてしまいました。
全国から集まった大工さんは、60人以上。
本当に頼もしい人ばかりです。
全国に大工仲間が増えました。
今後とも、いろんな形で、被災地の支援を続けていこうと思います。