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西日本シティ銀行本店の解体について

西日本シティ銀行本店の解体について
建築関係の仕事をしているせいもありますが、よく「建物の寿命はどれくらいか」という話を見たり聞いたりします。
日本の木造住宅の寿命は約30年。
鉄筋コンクリートの建物の寿命は約50年。
これが、一般的に言われている建物の寿命です。
まず、「建物の寿命」ってどうやって算出しているのか、みなさんご存知でしょうか。
それは、「解体した建物が何年前に建てられた建物か」の平均をとって「建物の寿命」としています。
なんか、おかしいですよね?
例えば、100年前に建てられた木造住宅はまだ解体されていないので、この寿命の計算には含まれていません。
長生きしている建物を計算に入れずに、壊された建物だけを考えているのです。
これを「寿命」と呼んでいいのか・・・
と思ってしまいます。
それから、もう一つ。
この「建物の寿命」を計算するときの、壊された建物は、なぜ壊されたのでしょうか。寿命が尽きて(耐用年数が終わって)壊されたのでしょうか。
違います。
壊される建物のほとんどが、経済的な理由で壊されています。
まだ使える状態の建物も、「壊して建て替え」です。
建て替えの方がいいと言っているのは、誰でしょうか。
建物の持ち主でしょうか。
建築会社でしょうか。
その建物が好きな人、その建物がある風景が好きな人、その町が好きな人達は、建て替えを望んでいるのでしょうか。
この西日本シティ銀行本店のような素晴らしい建物の持ち主には、その場所の風景になくてはならない建物だという自覚と、その風景を健全に保っていくという責任感が必要だと思います。
この建て替えに至るまでには、色々な議論があったとは思いますが、
自分たちで作ってきた文化を否定してしまっているように感じます。
日本人は新しいもの好きですが、
大切なものをあっさり捨て去ってしまっていることは、
本当に悲しいとしか言いようがありません。
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