
昨日に引き続き、木造住宅の色々に関するお話です。
今回は、防火について。
防火とは、文字通り、火を防ぐことです。
街中には、法律で「―――以上の防火性能を有すること」と定められている地域や地区があります。
この規制は、周りで火事が起きたときに、火をもらって延焼しないようにするためのものです。
「木は燃えるからダメだ」と短絡的に考えてしまいそうになりますが、実は、木は燃えにくいのです。
バーベキューやたき火をするときに、木に直接火がつきにくいことを体験した方もいると思います。
木の着火温度は一般には400℃~470℃と言われていますが、火にあぶられて表面が炭化すると、さらに火がつきにくくなります。
まずは、発火しにくい、ということ。
それから、燃え始めると、表面に火が広がるのは比較的速いのですが、内部に進行していくスピードは非常にゆっくりです。
実験では、板状のものだと、1分で1mm。角材だと、1分に0.6mmです。(1面だけに火がついた場合)
例えば、厚さ30mmの板を張った壁に火をつけると、火が反対側に燃え抜けるまでに30分間かかるということです。
厚さ12mmの石膏ボードは不燃材料の認定を受けていますが、15分で燃え抜けるようなので、木とそんなに大きな差はないと思います。
木は燃えるスピードが遅いということ。
熱を伝えにくいという性質もあります。
木は、ほとんどの種類が水に浮くことからわかるように、中に空気をたくさん含んでいます。
中に空気を含んでいるということは、断熱材のように熱を伝えにくいのです。
厚さ54mmの杉板に着火し、30分後の表面温度は、火がついている面が850℃だったのに対し、裏面は30℃だったという実験結果もあります。
木は熱を伝えにくいということ。
これらの性質がいったい何の役に立つのかというと、火事になったときに逃げる時間を確保できるということです。
命に関わる大切な問題ですね。
燃えにくいことで、構造材の強度の低下を防ぐというメリットもあります。
鉄などは、火事になると速い段階で強度を失ってしまいます。強度を失うと、上の階や屋根の重みに耐え切れずに、建物がつぶれてしまいます。
木は、決して火に弱い材料ではないのです。